「今度はおれの番な」
サンジはゾロの肌に口付けた。
乳首を甘噛みし、舌先で転がす。
「おい、今日はおれがする方だろうが、」
ゾロは抗議したが、施されることに慣らされた身体は、
従順にサンジの行為を受け入れてしまう。
「いいじゃん、させて」
胸の傷に沿って下腹の方へと移動し、中心で興奮を示しているゾロ自身に触れた。
細い指で的確に刺激され、一気に上り詰めてしまう。
硬く張り詰めたゾロの一物を懐かしそうに撫でた後、
サンジはぱくりと口の中に収めた。
「う・・あっ、」
ゾロの感じるポイントは知り尽くしているサンジだ。
久しぶりに受ける口淫に、ゾロはあっという間に限界近くまで持っていかれてしまう。
「・・・ん、おい、待て、イっちまう・・・」
「あ、そうだ、ちょっと待ってろ」
「は・・・?」
あと少し、というところで唐突に放り出された。
待て、とは言ったが、まさか本当にお預けを食らうとは思っていなかった。
ゾロの身体は突如刺激が無くなったことに追いついていけず、
快感の波が出口を求めて渦巻いている。
サンジは一旦寝台を降り、紙包みを持って戻ってきた。
快楽に流され気味のゾロは、ぼんやりとサンジのすることを見ていた。
包みから取り出したのは、見慣れた小さな容器だった。
今までにもゾロの身体に散々使われてきた。
男同士で、身体を繋げるために。
「・・・ッおい、なんでそんなもの」
「いいからいいから、」
サンジは慣れた手つきで容器の蓋を開け、中身を手に取ると
ゾロの尻の奥まったところへと塗りつけた。
「つ、つめて・・・」
「ああ、ごめんごめん、気が急いちゃって」
久しぶりだからさ、などと言いながら襞のひとつひとつに丁寧に塗り込んでゆく。
いつもの癖でしばらくされるがままになっていたゾロは、
状況の異様さにはたと気づいてサンジを引き剥がしにかかった。
「てめぇ、何しやがる!」
「え?わかるでしょ、解してんの」
「解してどうすんだ!突っ込むモン無えだろうが!」
「へへへ、そこはバッチリ準備してあるって」
次にサンジが取り出したモノを見て、ゾロは何をされるのかようやく理解した。
サンジが手にしていたのは、男性器を模した張り形に止め具らしきバンドがついたもので、
ゾロは目にするのは初めてだったが、用途は容易に推測できた。
「こ、の野郎ッ!!」
「ほらほら、おれサイズ〜!!こんなモンだったと思うんだけど!」
誇らしげに見せる様は無邪気ですらあった。
いや、もうちっと大きかった気がする、とか思わないでもないが、
喜ばせてどうするよ、おれ!
上陸してからの可愛らしい態度にすっかり騙されていた。
ナリがどんなに変わっても、サンジはやっぱりサンジだ。
「いらねえよッ、そんなもん!」
「えええ、そんなこと無えだろー、おまえ後ろじゃねえと満足しねえだろ?」
言いながらサンジがゾロの後ろに指を差し入れた。
たっぷりと塗りつけられたローションの所為で、
細い指はさしたる抵抗も無く潜り込んでしまう。
「うッ・・・やめろ・・・ッ、抜け、この・・・ッ」
蹴り飛ばしてやろうかと思ったが、ゾロの目に飛び込んできたのは
サンジの華奢な手足だった。
蹴れねえ・・・!!
クソコックじゃねえが、この状況で女は蹴れねえ・・・!!
躊躇ううちに、勝手知ったるサンジの指は器用にゾロの中を暴き、
性器の裏側にあたる場所を捉えて刺激した。
「んうッ!」
ゾロの身体が跳ねた。
思わず喰い締めたサンジの指は記憶にあるよりも細く、
刺激は的確だけれども僅かに物足りない。
「!!」
物足りない、もっと、と求めている自分に酷く混乱した。
自分を犯しているのは確かにサンジだが、快楽を与えてくる指は
間違いなく女のそれだ。
男の自分が女に犯されている。
犯されて、もっと、もっとと欲しがっている。
その倒錯した屈辱的な状況がゾロの中にある被虐心を煽った。
刺激される度に性器がビクビクと震えた。
「一回イっちゃってもいいよ、」
優しげなサンジの声に今にも陥落してしまいそうだ。
「誰がイくか、阿呆ッ・・・」
後ろでだけはイきたくない!
ゾロは否応なしに引き出される射精感に必死に堪えた。
「素直じゃねえなあ」
サンジは指を3本まで増やし、入り口を拡げながら更に刺激を与える。
受け入れることを覚えこまされた身体はゾロの理性を裏切り、
悦びにわななきながら次に与えられるはずのものを期待する。
ああ、足りない、もう少し奥まで、太いもので貫いて欲しい!!
「なあ、もう欲しいんだろ?」
ゾロの心中を見透かしたように、サンジが耳もとで甘い声でささやく。
以前と変わらない艶っぽい口調で。
ゾロは首を振っていやいやをしたが、
身体は嫌になるほど素直に返事をしていた。
肝心の部分は痛いほどに張り詰めてトロトロと蜜を零し、
指を限界まで咥え込んだ秘部は更に奥へと誘い込むように蠕動する。
「待ってな」
指がずるり、と引き抜かれる。
それは欲しいものが与えられる合図だった。
サンジの腰に括り付けられた装具を見て、
ああ早く、と自らの腰が疼くのを感じ、ゾロは自分に絶望した。
クソコックのバカ野郎ッ!!
なんつう身体にしてくれやがったんだ!!
硬いモノが入り口に押し当てられる。
ひいやりとした感触に身体が竦むが、欲しいという欲求の方が強かった。
「力、抜いてな」
言われるまでもなく、ゾロは尻の筋肉を緩めて張り形を受け入れた。
「ん、ん、ん」
正面から奥まで挿入され、満たされると同時に、これではない、とゾロは思った。
ゾロが欲しくて堪らなかったものは、もっと熱くて、激しいモノだ。
あんなにも自分を満たしてくれたものは、もう与えられることはないのだ。
「動くよ」
ゾロの上でサンジが腰を振る。
見慣れたアングルだが、腰の動きに合わせ、以前は無かった乳房が揺れる。
「あ、ああ、あ─────ッ」
悦い場所を抉られて、ゾロはあっさりと弾けた。
ビクビクと震えるゾロを見ながら、サンジはごめんな、と呟いた。
「もう、おれので可愛がってやれねえんだな」
半ば朦朧とした意識の中で、ゾロはサンジがもう一度
ごめんな、と言うのを聞いていた。