サンジが自分に触れたいのは分かっている。自分だってもう、ギリギリなのだ。
それなのに、踏み切れないは相手が同性だからかもしれない。同い年のライバルに似た自分達。あの生意気な男がゾロの無様な姿を見て黙っている訳がない。
今夜もゾロは瞼の男で体を慣らす。挑発的な視線。唇から覗く赤い舌。
サンジがゾロに向かって見せる欲情のサイン。
人目を忍び、抑えた密やかなものでもあれ程淫靡に見えるのに、ほんもんはいったいどれ程エロいんだろう?
だからこそ、ゾロは深夜サンジと二人きりになる事を避けていた。
男の革靴の床を叩く音が静まり、ゾロは深夜の鍛練の合間の水分摂取にキッチンに向かう。
しかし、こそには…。
開いたドアの向こうで、サンジが賭けに勝ったとでも言うように笑っていた。
「よう、ゾロ。随分待たせるじゃねェか」
男は瞳の色よりも明るいブルーのシャツを素肌にはおり、白く引き締まった胸から腹を露わにしている。その下は下着も何も身に付けていない。
長い脚を邪魔そうに床に投げ出し、片方はゆるく膝を立てている。
そして、その中央にあるのは、髪と同じ金糸とたわわな果実、そして腹に反るほど育った、桃色のペニス。
初めて見る同性の、惚れた相手の淫乱とも取れる姿。
「ぶっ!!!」
ゾロの両鼻から、滝のような鼻血が飛び出した。
ナイアガラもびっくりの半端ない勢いの鼻血…。
もちろん、目の前の男は目を大きく見開いた。
当然だ。
自分を見ただけで、これ程の鼻血を吹いたのだ。
「おいおいおい」
サンジが用意のいい事にティッシュの箱を持って立ち上がりゾロについと差し出す。
同じだ。あの時と…。
ゾロはぐいと手の甲で鼻血を拭い、ぎっとサンジを睨んだ。こんな姿を見れば、大爆笑に違いない。あの女のように、その場はしらけ、ゾロに愛想尽かしてもおかしくない。
けれど、ゾロが見たのは、いつもの強気な男の顔ではなく、どこかほっとしたような、気の抜けたようなサンジの顔だった。
「笑えよ」
ゾロは強引にティッシュの箱をサンジの手からもぎ取ると乱暴に鼻血を拭く。好きな相手が目の前で下半身を丸出しで立っていれば、ゾロの体の興奮は収まることがない。
「笑わねェ」
サンジは口元の煙草をついと指でつまみ、肺からふうと煙を天井に向かって吐き出した。
そして、短くなった煙草をシンクに押し付けるとそのままゾロの肩にトンと顎を乗せた。
「おい…、シャツに血ィ付くぞ…」
「構わねェよ」
サンジは顔を上げるとこつんとゾロの額に自分の額を付ける。
「…!!」
ゾロの鼻からまた血が噴き出した。サンジがゾロの固い股間にそっと手を置いたのだ。
「…おい」
「ゾロ…」
サンジがゾロの昂りを確認すると目を瞑ってゾロの唇に唇を当てる。
そのまま触れるか触れないかの距離を保ちサンジが小さくクスリと笑う。
「鉄臭ェ」
ゾロは堪らずティッシュの箱を床に落としサンジを抱き締めた。身長がほとんど変わらぬ二人。ゾロの耳元をサンジの唇から温かな息がくすぐる。
「心配して損したぜ」
「心配?」
「てめェ、おれに惚れてるっつう割には手ェ出して来ねェしよ?てめェみてェな野獣に理性があるとも思えねェし…。野郎に告ったの後悔してんじゃねェのかって思っちまった…」
いつも自信満々でゾロを誘惑して来たサンジがそんな事を考えているなどゾロは思いもしなかった。
「…バカか!んな訳ねェよ…、ただちょっと…」
「ちょっと?…鼻血か?」
初めてサンジがからかうような笑い声を出した。
やはり笑われたら笑われたで腹が立ったが、サンジの笑い声は温かで、そして、子供のようだった。
「なあ、やろうぜ?」
サンジがゾロの首に腕を回し、ゾロの口に舌を忍び込ませて来る。
「…汚れるぞ…」
ゾロの鼻血は止まらない。
「…いいって、おれに欲情した証だろ…?てめェの血で真っ赤に染めてくれよ…」
サンジは最初からゾロを欲する事を隠さなかった。唾液と血と、汗と、溢れる体液に二人はまみれてゆく。
床に座ったゾロに跨りサンジはゾロをやすやすと飲み込む。
サンジはすぐに快感を拾い喘ぎ声を漏らした。
サンジの慣れた仕草にゾロは快楽に飲まれながらも疑問を口にする。
「…初めてじゃねェのか?」
ゾロの言葉にサンジはほんの一瞬だけ寂しそうに笑った。
「…まあな、好きな相手を見ただけで興奮して鼻血吹くほどは…お綺麗な体じゃねェぜ?」
ゾロはムッとした。
「てめェは綺麗だ」
「鼻血垂らした奴に言われてもな…」
感じているのに、サンジの軽口をたたくその顔はほんの少し辛そうで、ゾロはサンジの頭を手でそっと包み込み、自分に引き寄せた。
「ゾロ…」
サンジの汗ばんだ背をぎゅっと抱きしめる。
「…もっと…、もっとくれよ…」
奔放に求める声がゾロに快楽以外のものを求めている気がしてならない。
「やるよ…全部。体中の血ィなくなってもな…」
ゾロは自分の血を味わいながら、サンジと深いキスを交わし、そして、サンジの中へ迸る想いを放った。
初恋の相手とのキスの味はレモンの味だと巷では言うが、ゾロのそれは鉄の味だった。
そして、またサンジも同じであることの幸せを、ゾロはまだ知らない。
おわり
あうもんどちっぷ様宅の絵茶で、
ちびっ太さんと芳賀がコラボしたイラストを元に
月色パンダの夢音優月さんが素敵なSSを書いてくださいましたvv
つうかさ、鼻血でシリアス!(大爆笑
マジでこれ凄いですよ!
SS自体を普通に読んでいくと、一途なゾロと男気溢れるサンジの
素敵なガチエロSSなんですけども、
ちょっと文章を映像化しながら読んでみると、
とんでもねえ情景に爆笑せずにいられません!!
どんな背景つけようかとネサフしてて、
もうぴったりの画像を見つけちゃいましたww
ゾロの鼻血に染まるあひるちゃんです。
サンジにぴったりでしょう?(だっはっは
文中に絵茶ログいれるかどうしようか迷ったんですが、
「ココですよ、ココ!」
って感じにスペース空けてくれてるんですよ、夢さんてば!!
イメージぶち壊しのお叱り覚悟で入れちゃいましたww
夢音さん、素敵なSSをありがとうございました!!