恋は媚薬 -3-

  

 濃厚なセックスの後、先にシャワーを浴びたサンジが部屋に戻ってみると、ゾロは全裸のまま、ベッドで大の字で寝こけていた。そんなゾロにサンジは「ぷっ」と笑って近づく。
 普段は猛禽類か、と言うくらい猛々しいオーラを発しているくせに、こんなふうに自分の前では無防備に眠ってみせる。
 サンジが寝首を掻くなどとは全く思っていないらしく、近くに寄っても豪快に眠っていて、ゾロを見ていると、サンジの中で得も知れぬ愛しさが湧き上がってくる。
 最初の時、ゾロが渇望した目をしてサンジを押し倒した時。
 身体の中で何かが満たされた。
 こんなに望まれている。こんなに欲されている。
 なら、なんでもやろう、とサンジはその時思った。
 実際、身体を重ねてみたら、サンジが思っていたより、ゾロは経験だけはあったみたいで、一回目の時からサンジは意識を飛ばして、ゾロにしがみ付き、ゾロの名前をひたすら呼んでいた気がする。
 でも、ゾロがこんなふうに誰かを大事に抱いたのはオレが初めてだろう、とサンジはアタリをつけていた。最近でこそ、上手くなってきた、と思うけれど、最初の頃のゾロはどこかたどたどしいキスしかしなくて、舌を絡ませ合おうとするとびっくりして目を開けていた。キスの経験がなかったのかもしれない。けれどいつの間にかゾロはキスも上手くなり、そしてサンジがどうされると喜ぶかを覚えて、今ではゾロと身体を重ねるたびに熱に浮かされたかのように、ゾロだけを求めて我を忘れてしまうサンジなんである。
 幾ら体力に自信があるとは言え、最初ッから与え過ぎて飽きられても困るし、ホドホドに手綱を取っているサンジなのだが。
 たくましい肢体を投げ出して眠るゾロの横に腰を下ろす。
 ンガ〜と眠るゾロを見ていたら、ちょっと悪戯したくなった。
 ゾロに気付かれないようにゾロの上に跨って、ゾロの乳首に唇を落とす。ベロベロと舐めて、食んで(本当は噛み付きたかったけれど、起こさないようにそれはやめた)、無意識のうちにゾロが官能に身体を染め、股の間の一物を勃たせていくのを優越感を持って眺めた。
 ゾロの雄に手をやって柔らかく扱くだけで、ゾロのソレがビクビクと震える。
「可愛いじゃねェか」
 サンジは呟いた。
 思わずゾロの立派過ぎる一物に丹念に舌を這わせていたら、
「・・・何、してやがる」
 と、物騒な響きを持った声が頭上からした。
「ん?テメェの息子を可愛がってやってんだよ」
「てめェ、シャワーを浴びに行ったんじゃねェのか」
 綺麗好きのサンジが事後にシャワーを浴びるのは決まりごとで、それはもうおしまい、と言う合図でもあった筈だ。
「あんだけ射したつーのに、テメェの息子は元気だぜ?」 
 ベロリ、とゾロの性器を舐め上げながらサンジがからかうように言った。
「もうやめとけ。我慢が効かなくなんだろ」
「誰が我慢してくれってお願いしたよ」
「・・・・」
「最初に言わなかったっけか?サービスしてやるってよ」
 何だか判らないが「ヨシ」の合図は出たらしい。ゾロはむくりと起き上がると、
「いい、匂いがすんな」
 サンジの身体のあちこちを嗅ぎ回りつつ、嘗め回りつつ、ゾロが言う。ボディソープの匂いがサンジからは漂っている。だがゾロは何故か顔を顰めている。
「不満か?」
「てめェの匂いの方が好きだ」
「ドーブツか、テメェは」
 サンジはケラケラと笑った。
「うっせぇよ」
 軽口を叩き合いながら、お互いの愛撫を深めてゆく。
 さっきまでさんざん快楽の淵に沈んだ身体に火がつくのはたやすく、サンジの肢体が上気してうねった。
そんなサンジに、「うし」と、ゾロの唇が頬から顎にかけてねっとりと落ちてくる。髭を歯で引っ張られて、一瞬、顔を上げてしまった。ゾロの唇は顎からサンジの唇へと移ってくる。サンジの唇に、チュッチュッと軽いキスを落とした後、サンジの唇をゾロの舌が抉じ開けて、サンジの口内にゾロの舌が侵入してきた。
 舌で誘うように応えてやれば、ゾロがニヤリと笑う。
 歯列をねっとりと舐めるゾロの舌に、サンジは歯にも感覚ってあんだな、と熱烈なキスの合間にしてはヘンなことに感心した。
 そしてサンジは力いっぱいゾロを抱きしめた。


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