ほんとうは、好き。 2

サンジの脚を抱え上げ、ふぐりのさらに後ろにある、
ひそかに息づく小さな部分に尖らせた舌を差し入れた。

「やめろ、きたねえ、や、ふあ」

サンジが身を捩って逃れようとする。
自分だって、おれの制止の声は聞かずに舐めまわすクセに。

ゾロは構わず愛撫を続けた。
ひだのひとつひとつに唾液を塗りこむように、丹念にほぐしていく。

それにゾロは知っている。
幼い頃に刷り込まれた、浄不浄の意識や羞恥。
それらのタガが外れた先にある、例えようも無い快楽を。
理性を手放した先にある絶頂を、サンジにも味あわせてやりたかったのだ。

そう、いつでも口ではやめろと言ってはいるけれど、
ソコを弄られるのも嫌いでは無かった。
女好きのハズのこの男が、自分と体を繋ぐために、
そんな場所すらも愛撫するのだ。
むしろ、好きなんだと思う。自分は。
執拗に慣らされるのも。多分。


「やめろっ、あ、あうっ」
サンジが息を吐く瞬間を見計らって、指を挿し入れる。

腕の自由を奪われた状態で、尚も逃れようともがくサンジの腰を、
ゾロはもう一方の手でがっちりと掴んだ。

「なんだよおまえっ コッチやりたかったのかよ!」
「いや、別に。正直めんどくせぇし」
「なんっじゃそりゃあぁああああ」

抗議の声などガン無視だ。

ペニスを口に含み、宥めるように愛撫しながら、後ろをゆっくりと掻き回す。
先端の敏感な場所を押し開くように舌でつつくと、掠れた甘い声が漏れた。

「ふっざけんな、あっ・・・」

力無く抗議する声さえ甘く、ただゾロを煽るばかりだ。

「やめろ畜生!気色悪ィ!
 てめぇだっていつも嫌がってんじゃねえかよ!」

「てめぇこそ嫌がってもやめねぇだろ?」

ゾロが言うとぐ、と言葉に詰まる。

「しょうがねぇだろ、慣らさねぇとお前が辛…あ、」

サンジの中に埋め込んだ指を慎重に動かしてゆく。
腹側を探るとしこりのような部分にあたった。
サンジの背が弓なりにしなり、喉元が晒される。

元来受け入れる器官では無い場所を暴いているのだ。
痛いのか気持ちいいのか、
ゾロはサンジの表情を観察しながら、慎重に行為を続ける。

ああなるほどとゾロは思った。

自分の中を探るサンジが、どんなにもういいからと懇願しても、
納得するまで慣らし続けていた意味がわかった。

痛い思いをさせたくない。
出来れば気持ち良くなってもらいたいのだ。

色白の肌はすっかり上気し、サンジが快楽を覚え始めているのが分かる。
やめろだのクソやろうだのと、口やかましく喚いていた唇からはもう、
喘ぎしか聞こえてこない。

「挿れるぞ、いいか」
「ヤるならヤれ!畜生!!」

「・・・・色気ねぇの」
「っるせぇ!」

ゾロは自らの砲身を当てがい、ゆっくりとサンジの中へと押し入った。

熱い。
初めて味わうサンジの中は、想像をはるかに超える気持ちよさだった。
熱い粘膜に包まれる感覚に、ゾロは堪らず本能のままに腰を振ってしまった。

「痛ぇ!痛えって!バカ!!」
「悪ィ、やべ、イっちまうッ」

ゾロは数回の抽送の後、あっさりとサンジの中に精を放った。
ひときわ奥を突かれたサンジは悲鳴を上げた。
ゾロが達したのが感覚的に分かったらしく、サンジは、
ひでえ、中出ししやがった・・・とうわごとのように呟いた。

「あ」
「・・・っなんだ!!」

「おれお前で童貞切っちまった。」
「・・・はぁ!?ばっ!おま、ど、童貞・・・だったのか?!」

「ああ、もう違うけどな」
ゾロがハハハと笑うと、サンジは特徴的な眉をへにゃりとゆがめた。

「・・・・・おれなんかで切っちまって、いいのかよ、バカ野郎───」
「ま、悪くねえんじゃねえの」

ゾロはサンジの中に砲身を収めたまま、頭を掻きながら答える。

「おめえのこと、嫌いじゃねぇし・・・あ!馬鹿、絞めんなッ」
「・・・!」



*****



翌朝サンジは、腰に何となく重ダルさを感じながら、
いつものように朝食の支度をしていた。
日頃抱きつぶさんばかりの勢いでいたしても、
翌日けろっとしているゾロは、相当タフなんだなと改めて思った。

ふと、関係しはじめた頃のゾロは、
行為の後ダルそうにしていたことを思い出す。

与えられる愛撫に気持ちよさを感じなかったと言えば嘘になるが、
身体を繋ぐ行為自体は違和感と痛みの方が強かった。

あの男が自分に身体を開いてくれているということは
自分が思っている以上に大変なことなのだと分かったが、

それにしてもゾロは何故、急に立場逆転を図って来たのか。
抱かれる立場であることに不満でも持っていたのだろうか。

あんなにいつも善がっていたのにと、サンジは首を傾げるばかりだった。



サラダが出来上がる頃、キッチンへと入ってきたロビンは、
心持ちがに股で歩いているサンジの姿を見るなり吹き出した。
そのままおなかを抱えてあははと声を立てて笑っている。
サンジはあっけにとられてロビンを見ていた。

ロビンがこうして声を立てて笑っているのを見るのは、めったに無いことだからだ。

「そう、そういう行動に出たのね、あはははは!
 面白いわね、ゾロって」

涙すら浮かべて笑い転げるロビンを、
なすすべも無く見ていたサンジだったが、
ゾロ、という名前にようやく反応した。

「えっ、ロビンちゃん、ゾロって、それってどういう───」
「あはは、だってゾロでしょう、原因は?」
「う」

尚もロビンは笑い続ける。
ロビンは多分、自分たちの間に起ったことを知っている。
それを認めるのはかなり気恥ずかしいが、
ゾロの行動の理由を知りたい気持ちの方が強かった。

「ねえ、ロビンちゃん、ゾロの行動って、何か知ってるの?
 その、何であいつがあんなこと・・・?」

ロビンは指で涙をぬぐうと、にっこりと笑って答えた。

「ゾロはね、サンジへのお誕生日のプレゼント、とても悩んでいたのよ」
「あいつが?」

「ええ、そう。予算は残念ながらあまり無い様子だったから、
 喜ぶことをしてあげたら、って言ったのよ」
「・・・喜ぶこと・・・ねぇ・・・?」

童貞を捧げれば、喜ぶとでも思ったのだろうか??
いや、ゾロの処女も童貞もいただいちゃったのかと思うと、
まんざらでも無かったが・・・。

「でも何をすれば喜ぶか、よく分からないと言うから」
「───あんのクソ野郎、」

わからん、あの脳ミソ筋肉野郎の考えることはさっぱり分からん。
サンジが心底ガッカリしていると、ロビンがさらに続けた。

「だから、自分がされて嬉しいことをしてあげたら、って教えてあげたのよ」
「自分が・・・されて?」

「ええ、そう。嬉しいこと」

瞬間、サンジはキッチンのドアを開けて飛び出していった。
遠くでゾロの悲鳴が聞こえて、ロビンはもう一度爆笑した。



まだ朝は早い。
サラダはあらかたサンジが作ってくれたし、
トーストとコーヒーくらいなら自分にも出来る。


お誕生日の朝くらい、ゆっくりさせてあげましょう。


ロビンは腕まくりをしてコーヒーをミルにセットした。




End.

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2013年サン誕SSです。

2012年にだらだら書いてて間に合わず、
7割方出来上がってる状態で放置だったんで、

「よっしゃ今年は途中まで書いてあるから楽勝ね!」と思ったら、
エロがな・がーくなっていき、結局微妙に間に合わなかったという始末。

うん、でも久々のリバ、書いてて楽しかったです。←これ重要

サンちゃんお誕生日おめでっとーう!
愛してるよー!!!


2013.3.3(おい)