コンパートメントV 5
















秋風が爽やかに吹き始める頃、高校生活最後のお祭り、文化祭が開催された。
地元公立高校のこの学校の文化祭は、地域に開放で行われるため、一般の来場者も多い。

最終学年である三年生は、受験を控えているものもいるため、本来参加は自由だ。
だが、ほぼ全員が程度の差はあっても、何らかの形で参加する。
最後のお祭りをそれぞれの精一杯楽しむのだ。

ゾロのクラスは理数選択のクラスで、進学組がほとんどだ。
文化祭の出し物も、あまり負担にならないようにと、縁日を模したゲームコーナーになった。

常時数人の生徒が、テキ屋スタイルで来場者の相手をする。
下準備も当日の負担も大したことは無い、無難なチョイスだ。

ゾロは朝イチの当番だった。
クラス全員で揃えた法被を着て、訪れた客にニッコリ笑って「らっしゃい!」と言った瞬間、
子供が盛大に泣き出してしまった。

あんまりにもホンモノっぽ過ぎる、という、あんまりにもあんまりな理由で、
ゾロは早々にお払い箱となった。



一方サンジのクラスは語学選択クラスで女子が多い。
サンジが語学選択とした理由の一つでもあるが、それはまあ置くとして、
ちょっとひねった喫茶室をやろうということになり、結構本格的に準備も進めていた。

「ねぇ、なんか納得行かないわよね?」

サンジの衣装の着付けを手伝っていた女子生徒が毒づいた。
女子は執事、男子がメイドの扮装をする事になっていた。

女装の気色悪さを売りにするつもりだったというのに、
出来上がったのはそこそこ見られる感じの美女だった。

「え、何で?」

サンジは首を傾げる。
イロモノそのものの扮装を嫌がらずにやってるというのに、何で文句を言われるのかと不服そうだ。

その仕草にすら無駄な色気が感じられ、女子生徒は額を押さえて溜息をついた。

着痩せする体型はある意味モデル体型だ。
レンタルしたメイド服は、ごく普通の着丈のものだったのに、
すね毛を隠すためにチョイスしたニーハイソックスとスカートの間には、
世にも絶妙な絶対領域が出来ていた。

「脚がスースーするなぁ、皆こんなんよく我慢できるよなぁ?」

裾を気にする姿も無駄に色っぽい。
女子生徒一同脱力したところに、企画担当のナミがひょこりと教室を覗き込んだ。
サンジの姿を見るなり表情が変わる。

「ちょ・・・サンジくん、それ・・・!」
「何?ナミさん、そんなに変?」

ナミの目がキラキラと輝く。ベリーのマークになっているような気がしなくもない。

「写真!撮ってもいいわよね?!」
「えー、ヤだよ、こんなカッコ、」

「文化祭の予算ギリギリなのよ!!
 協力しなさい!!
 ブロマイド撮るわよ!いいわね!?」

「えー!」

どこから出してきたのか、一眼レフのデジタルカメラまで持ち出して、
急きょ開店前の撮影会が行われることになった。



ところで縁日をお払い箱になったゾロは、ふらふらと校内を歩き回っていたのだが、
教師に出くわす度に、

あ!ホンモノだ!警察に連絡…なんだ。ロロノアか。

という反応をされ、いい加減辟易としていた。
そんなワケで、サンジのクラスを覗いた頃には、ゾロは盛大な仏頂面だった。



メイド服姿のサンジを見た瞬間、ゾロはあんぐりと口を開けて、
そのイメクラっぽいことこの上ない格好を、上から下までまじまじと見回した。

「おう、ゾロじゃねえか、」

姿を認めて何気なく声を掛けたものの、サンジは自分の状態を思い出し、
これはバカにされると身構えた、が、

「うお、おああああああ?!」

ゾロは無言でサンジの腰を抱え上げて肩にかつぐと、そのまま教室の外へと歩きだした。
事態に気づいたナミが血相を変えて追いすがる。

「ちょっ、ゾロ?!どこ行くのよ!!」
「うるせー!ナミ!てめえの仕業かッ!こいつにこんっなハレンチな格好させやがって!」

「はぁ!?ハレンチぃ?!
 何言ってんのよ、男子はみんな同じカッコよ?!
 ウチの看板娘連れてかないでよ、ゾロ!!」
 
「離せ、下ろせ!ゾロ、おい!」
 
サンジも暴れたがゾロはびくともしない。
大柄な美脚メイドを担いだテキ屋の姿に、見物客や他のクラスの連中も驚いて道をあける。

放せバカ変態!と低音で叫ぶメイド嬢た連れ去られるのを、
一同あっけにとられて見ていた。

騒ぎを聞きつけてやってきたロビンが、遠ざかっていく2人の後姿を見ながら、
ポツリと呟いた。

「・・・サンジったら・・・パンツ、丸見えだったわね・・・。」




ゾロがサンジを運び込んだのは、音楽準備室だった。
音楽部は体育館でコンサートだ。
普段は準備室に置いてある楽器類は運び出された後で、
暗幕が掛かった室内はがらんとしていた。

投げ下ろされたサンジは腰をしたたかに打ち、
何しやがる!と抗議しかけた唇は、ゾロのそれに塞がれた。

「・・・んッ・・・」

息が上がるまで口内を探られ、ようやく離れたかと思うと、
スカートの裾から熱く乾いた手が入り込み、腿に触れた。

「げっ!ちょ、ゾロやめろ!」

そのままスカートをバッとめくり上げ、下着をあらわにする。

「あっ、やめ、バカ!!」
「てめぇ・・・なんだよコレは!!」

サンジが身に着けていたのは、女性用の下着だった。
メイド服に合わせた黒に、黒のレースで縁取りがしてある。
一見清楚に見えて、白い肌に映えてひどく扇情的だった。

しかも、女性用であるため布の面積が非常に小さい。
性器の形がぴったりと丸わかりで、卑猥であることこの上ない。

「しょうがねぇだろ!これ含めて衣装なんだよ!!
 なんか見せる下着だとかなんとかナミさんが・・・」

「ノせられてんじゃねえよ・・・!!」

舌打ちをひとつして、ゾロは下着の上から性器を咥えた。
布越しにゾロの息の温かさだけが伝わる。
そのひどくもどかしい刺激に、ゆっくりとサンジの下半身に血が集まり始める。

「うわッ、やめろ、やめろってマジで!!」
「なに、」

「これ貸衣装なんだよ!」
「コレもか?」

布を押し上げ始めた先端を、指で刺激しながらゾロが訊ねる。
サンジの喉の奥で、ヒュッと空気が漏れるような音がした。

「それは、ちが、けど、」
「じゃあいいじゃねえか。」
「良くねえよ、バカ!戻って接客しねえと・・・!やめろこらああああ!!」

じわ、と先端から体液が漏れる感覚がする。
これだけ丈の短いスカートだ。
動けば下着が簡単に見えかねない。

「やめろ!染みになっちまうだろ!!」
「すりゃ良いじゃねえか。」

ゾロは肩頬を歪めて意地悪く嗤った。

「そうすりゃこんな格好で他の奴らの前に出られねぇだろ?」

ゾロが小さな下着の前を押し下げると、半勃ちのペニスが飛び出す。
ゾロはためらうことなくそれを口に含んだ。

「ッあ、やめ、バカ!!」
先端の小さな孔から漏れる体液を、全て吸い出そうとするかのように、
ゾロは先の方だけを咥え、唇で揉みこむように食んだ。

強烈な快感だった。
射精への欲望が一気にせり上がる。

もう口にだったら出してしまってもいいか、と
快楽にサンジのなけなしの理性は流されそうになる。

ゾロはいつの間にか自分のボトムと下着をずり下げていた。
性器は腹に付きそうな程に完全に立ち上がり、ゆらゆらと揺れている。

ゾロの右手はサンジのモノをがっちりと握っているのだが、
左手は何をしているのかとサンジが首をめぐらすと、自ら後ろを寛げようとしていた。

「だだだだ、ダメだッ!ゾロッ!やだ、ヤだって!!」

「は?」

「こんなんヤだって!
 次はちゃんとベッドの上でお前を抱くんだよッ!
 初めてが青姦でゴーカンとかホンット冗談じゃねえよ!
 次はちゃんと可愛がりまくっちゃうんだからさ、こんな─────ッ」
 
「おれがそうしてえんだ、イイだろ。」

ゾロが上にのしかかる。
サンジは渾身の力で押しとどめようとするが、下に組み敷かれているので
圧倒的に不利だ。

完勃ちのペニスの先端に圧力が掛かる。
狭い場所に押し入るような感覚に眩暈がする。

「やめろってぇえええええ!!」






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