過去2度交わしたキスは、2度ともサンジから仕掛けたものだった。
ゾロの方から施されるのは初めてだ。
頤に手を掛けて顔を上向かせ、わずかに開いたサンジの唇に、
ゾロはふわりと自分の唇を押し当てた。
普段の所作からは想像もつかない繊細な行為にサンジは面食らった。
そのまま唇を啄むように食まれる。
その慣れない感触に背筋がぞくぞくする。
なかなか舌が進入してこないのが却ってもどかしい。
サンジのほうから舌を差し入れて強請ると、ゾロが待ち受けていたかのように応じた。
口腔内を探りながら、サンジのシャツのすそをボトムから引っ張り出す。
もぐりこんで来たゾロの手のひらが汗ばんでいるのは、興奮のせいか暑さのせいか。
サンジの骨のひとつひとつを確かめるように背中をまさぐる。
その手のくすぐったさから逃れようとして、サンジはゾロに腰を押し付ける格好になった。
腿に熱く硬くなったゾロの下腹部が触れる。
今度こそ間違わない。
サンジは深く口付けたまま手を伸ばしてゾロのベルトのバックルを外した。
ベルトの重みで制服のズボンが勢い良く足元に落ちる。
下着の中に手を入れると、すでにそこはしっとりとして、
窮屈そうにしていたゾロ自身が元気良く飛び出してきた。
根元の方からあやすように扱くと、ゾロが呻くような声を上げる。
先端からは透明な雫がぷくりと滲み出し、サンジはそれを塗り広げるようにして
さらに刺激した。
「ちょ、おまえ、」
「何、」
「そんな、ことして、・・・平気なのかよッ」
「あ?何が?」
「・・・男の、ナニとか、触って・・・」
「は?だっておれにもついてんじゃん」
「────そうじゃ、なくて」
「言ったろ、おれもおまえに触りてえって」
「───けど、」
「それに、すっげ可愛いよ、おまえも、」
「は、あ、」
「ここも、」
小さな孔からはだらしないほどにトロトロと先走りをあふれさせていて、、
サンジがそこを指の腹で押し広げるように愛撫するたびに、くちくちと淫らな音がした。
一方的に攻め立てられているのを嫌い、ゾロはサンジをベッドに引き倒し、
同じように下腹部へと手をやった。
布地越しに膨らみに触れ、自分のものと同じように固く張り詰めているのを、
認めると、性急にベルトを外しにかかった。
気が急いてうまくバックルを外せずにいるゾロにかわって、
サンジは自分でベルトを外し、ジッパーを下ろした。
競い合うようにお互いの衣服を脱がせ、生まれたままの姿で抱き合った。
もう一度ゆっくりと唇を重ねた後、ゾロはむしゃぶりつくようにサンジの股間に顔を埋めた。
子犬が母犬の乳にすがりつく姿に似ていた。
ゾロが自分のモノを大事そうに一心に舐め上げている。
それは視覚的にも相当刺激的な光景だった。
初めて受ける口淫の心地よさに、あっけなくサンジは追い詰められる。
「コラ」
ゾロは、と見ると、サンジを愛撫する一方で自身を慰めていた。
「おれがいんのに自分ですんじゃねえ」
サンジは懸命に体勢を入れ替えると、ゾロのモノを口に含んだ。
「う、あ、やめ、」
ゾロの口から甘い喘ぎ声が漏れた。
男の性器なんか初めて口にするけれど、嫌悪感は全く沸かなかった。
もっと気持ちよくさせてやりたくて、無我夢中で舌を這わせた。
限界が来たのはサンジが先だった。
「おい、もう─────、」
ゾロの短い頭髪を掴み引き剥がそうとするが、
ゾロは頑として離そうとしない。
「ちょ、もう、マジで、」
「いいから、」
「な・・・」
「いいから、このまま、いけ」
「ふぁッ、や、ばかっ」
咥えたままで喋られて、その刺激でサンジは暴発した。
口の中に出すのを避けようと無理に引き抜いたので、
ゾロの口元で弾けてしまい、顔に盛大に引っ掛ける形になってしまった。
「ゾロ、ゾロ、ゴメ・・・」
自らの放ったモノを払いのけようとあたふたするサンジに、
ゾロは、「いい、気にすんな、」と言って拭い、手についたものをぺろりと舐めた。
「ちょ、ゾロ、」
「不味い・・・」
ゾロが本当に不味そうに顔をしかめたので、サンジはひどく情けない気分にさせられた。
「そりゃそうだろ・・・知らねえけど・・・」
「苦ぇし、変な味だ。」
「・・・・・」
「けど、嬉しい」
ゾロがひどく幸せそうに笑ったので、サンジは堪らなくなった。
そんなにおれを好きでいてくれるんだ─────。
そう思うと、もっともっと、ゾロの悦ぶ顔が見たいと思った。
途中で放りだされ、芯を持った状態でとろとろと先走りを零しているゾロ自身を、
サンジはもう一度指で捕らえた。
「おい、おれはいいって、」
「なんで」
「おれはいいんだ、おまえさえ気持ちよくなってくれれば、」
「バカ、」
サンジは先端部にちゅ、と音を立てて口付けながらゾロの顔を見据えた。
「おれがしたいの」
「!」
「おれも一緒だって言ったろ、おまえも気持ちよくなんねえと意味がねえ」
あやすようにゾロを愛撫しながら、
「おまえのイクとこ見せて?」
「そんで、おまえの、おれにも飲ませて?」