恋は媚薬 -1-

  

 欲しいものは奪ってでも手に入れたいと思うゾロなのに、サンジだけは最初から違った。
「オレをオンナにしてェのか」
 無理矢理組み敷いた時、サンジの力強い視線に圧倒された。罵倒さえ欲しいと思って「そうだ」と言ったら、ニィっと挑発的に笑ってサンジは言った。
「いいぜ?それでテメェの欲しいもんが手に入るなら、な」
 この時にサンジとの関係における力関係は決まってしまったんだと思う。無理矢理自分のモノにして手に入るくらいのモンだったら、きっとこんなに欲しいとは思わなかった筈だ。
「・・・どうしたらいい?」
 躊躇うように聞いたら、
「オレに聞いてどうすんだ」
 サンジはちょっと呆れたように苦笑った。「お付き合いつーのは、告白からだ、クソ剣士」
 からかうようにサンジの視線がゾロを見上げている。告白して受け入れられる筈もないのに、と心の中で思いつつ、ゾロは言った。
「好きだ」
「おう、オレもだ」
 呆気なく返されて、一瞬、ゾロの呼吸が止まる。
「な。どうせなら恋人同士の方がいいだろう?」
 したり顔でそう言われて、ゾロはノックアウトされた。

 それからゾロはもうサンジに骨抜きだ。
 夢中と言うのはこう言うことを言うんだろう、と頭のどこかで思う。
 島について、サンジが「行くぞ」と言うので「おう」と船を一緒に下りた。寄港した島で、二人で宿を取って、こんなふうに二人きりで過ごすのももう数え切れないくらいになった。
 ゾロがシャワーを浴びて部屋に戻ると、サンジが真っ裸のまま、ベッドにうつ伏せで寝転がってタバコを吸いながらゾロを待っていた。
 引き寄せられるようにゾロはベッドに腰掛けると、サンジの太ももに手のひらを這わせた。サンジはくすりと笑って、ベッドの脇にある棚の上に置いた灰皿でタバコを揉み消した。
 ゾロはサンジの肌のしっとりとした質感を楽しみながら、尻のあたりから膝くらいまでねっとりと撫ぜる。
 サンジは上半身を捩ってゾロを振り返り、手を伸ばす。片手でゾロの首を引き寄せる。
「ゾロ、しようぜ」
 耳元で囁いてやる。「サービスしてやんよ」
「何だ、珍しいじゃねェか」
「愛されてることに胡坐を掻いていると捨てられちまうからな」
「阿呆か」
 どんなに胡坐を掻かれたって、ゾロはサンジにメロメロなのだ。無駄に男らしく、きっぱりとそう思って、引き寄せられるままに、ゾロはサンジの上に圧し掛かった。

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