Sorry, my darling. -4-

キスを交わしながらお互いの衣服を取り去っていく。
元来手の器用なサンジでさえ、気持ちばかり急いて手がうまく動かず、
ゾロの服を脱がせるのに手間がかかった。
まして不器用なゾロは、シャツの小さなボタンに相当てこずり、
もどかしいとばかりに引きちぎってしまった。

「おい、こら」
上ずった声でとがめるサンジの顔も見ずに、
「わりぃ」
とだけ言うと、ゾロはサンジの首筋に吸い付いた。

「んあッ・・・」
全く予期していなかったので、思わず情けない声が漏れた。
ゾロの舌の熱く濡れた感触に、サンジは自分が貪り食われるような錯覚を覚えた。

きつく吸われて、色白な肌に鮮やかな朱色の後が残る。
「いってぇ・・・あ、てめ、痕つけんな・・・」
ゾロは耳を貸さずにそこかしこに唇を押し当て、紅い花を散らしていく。

「あと・・・つけんなってッ・・・」
幾度目かのサンジの静止に、
「自分のモンには名前書いとけって師匠に教わった。」

「はぁ?」
「おまえは、おれのモンにしていいんだろう?」

「なん・・・ッ」
サンジは顔を真っ赤にして言葉に詰まった。
何て恥ずかしいこと言いやがるんだ、このクソ剣士は!!

しかも多分ゾロ自身は計算の上でじゃない。
素直に言葉に出してるだけなのだ。

「クソッ、好きにしろっ!」

貪り食われるというのは多分正しい。
おそらくゾロは、喰らい尽くすまで止まらないだろう。

欲しがっているのは自分の方だとばかり思っていたのに。

サンジは観念したように目を閉じ、ゾロに身体を委ねた。

ゾロは激しかった。
乱暴というのとは違う。
ひたすら本能のままにサンジを欲しがったのだ。

経験はそれほど多いとは思えなかった。
ゾロのそれは、愛撫と呼ぶには程遠いほどにぎこちなく唐突で、
力加減も何もなっちゃいなかったから。

ただ、おそろしく勘が良かった。
サンジの小さな反応を頼りに、ポイントをすぐに見つけ出してしまう。

おそらく本人にはそんなつもりは無いのだろうが、
ゾロは肝心の場所には全く触れず、焦らすようにサンジの全身を嘗め回した。

もどかしくても強請るわけにもいかず、サンジは頭がおかしくなりそうだった。
脳髄までとろとろに蕩けさせられ、中心の雄にゾロが触れたときには悦びさえ感じた。

「あ、あ!」

痛みすら感じるほどの強さで扱かれ、声を抑えることもままならない。
ゾロの手のひらに大量に放出してサンジは果てた。

ゾロはサンジのもので濡れた指を、サンジの脚の間に息づく小さな菊門にそのまま押し込んだ。
息を整える隙も与えずに内部を探り始める。
「うあ、あ そこ、やめ・・!!」

男同士の交合では、そこを使うことは知っていた。
けれど、受け入れる側にとっては痛みと違和感だけの行為だとばかり思っていたのに、
ゾロの指がある場所を掠めるたびに、ぞくぞくと快感が腰から脳髄まで駆け上がるのだ。


「そこ、やめろ ゾロ、なんか、なんかへん・・・ッ」 
「あ、悪ィ、入れていいよな」
「はぁ?」

いきなり素っ頓狂なことを聞かれ、サンジは何のことだかわからなかった。

「いや、おれはどうしてもおまえン中に挿れてぇ
 良いよな、入れても?」

「ば、ばかッ!いまさら聞くな!」

真っ赤になって了承の言葉を叫ぶサンジに、ゾロは、に、と哂うと指の動きを再開させた。
「あ、ばか!そこ、やめろって・・・!」

「悪ィが、それは聞けねえな。」
「ん、な、なんで・・・」
「どうみてもイイって反応じゃねえか。
 やめられるわけねえだろ」

サンジの性器はいつの間にか再び頭をもたげ、透明な雫をこぼしていた。
ゾロは指を中に入れたまま、目の前でヒクヒクと揺れているそれを口に含んだ。


「うあ!ああ!!」
前と後ろ同時に責められて、ひとたまりも無かった。
カリ首を執拗に舐め上げられ、内側からは前立腺を刺激され、
鈴口に舌を割りいれられてサンジの身体が激しくのたうつ。
ほとんど悲鳴のような声を上げながら、サンジはゾロの口の中に2度目の精を放った。

「も、もう勘弁してくれ・・・!!」
いまだ痙攣が治まらないままにサンジは涙目で訴えたが、ゾロは指を引き抜くと、
自身の屹立をサンジの秘部へと押し当てた。

「悪い、もうちっと我慢してくれ。
 おれがまだなんだ、おまえン中にまだ入ってもいねえし。」

2度いかされて全身が弛緩してしまっている。
十分過ぎるほどに解されたそこは、ゾロの大きな砲身をスムーズに飲み込んでいく。

「は、あ、あ・・・っ」

進入される感覚に肌が粟立つ。
ゾロは一息に奥まで入り込むと、大きく息を吐き、
サンジの髪を撫でながら「悪い、もうちっとな」と言うと、激しく腰を使い始めた。

「うあ!あ!あ!」

ゾロは物覚えの悪いほうではない。
さっき覚えたサンジのイイところをしっかりと掠めながらガンガンと突く。

否応なしに3度目の絶頂へと導かれ、サンジはかすれた悲鳴を上げた。
「あ、あ、やめ、こわれ、こわれちまう・・・ッ」

ずくずくと突き上げられる度に、先端からは白濁した体液がとぷり、とぷりと溢れだす。
通常の射精とは違うそれがサンジの恐怖を煽り、サンジは泣きながらゾロに許しを乞う。

「もう、もうやめてくれ・・・!!何だよ、・・・これッ、
 止まんねえ、止まんねえよ、ゾロぉッ、壊れちまった、こわれ・・」

「もうちっとだ、もう少し・・・ッ」

一際深くまで突き上げると同時に、サンジもゾロ自身をきつく締め上げ、
ゾロはサンジの中へと精を迸らせた。


* * *

どうにか立ち上がれるまでに回復すると、サンジはゾロを散々に蹴りつけた。
「ふざけんな、この、この・・・!!」
男を受け入れるのは初めてだったらしい。
初めてなのに乱れまくって後ろで達ってしまったので、恥ずかしくてたまらないのだ。

まあちょっとやりすぎたかとは思ったので、ゾロは素直にごめん、と謝った。
凶悪なご面相で蹴りつけてくる男を可愛いじゃねえかと思う。
相当頭が煮えてる感じで可哀想だという自覚はあるが、惚れた弱みだ、仕方ない。

それにまだ足腰にキてるのか、蹴りの威力が普段の半分も無い。
原因となった行為を思い出し、ゾロは蹴られながら一人幸せを噛み締めた。



* * *

それからどうなったかというと、二人の普段の関係はあまり変わらない。
サンジは相変わらず蹴るし、踏むし。
誠意の感じられない調子でわりい、と謝ってきたりするところも全く変わらない。

ちょっかいとか照れ隠しとか関係なくやっぱり蹴るんじゃねえか。
とゾロは思うが、夜には触れることを許してくれるのだからまあいいか、とも思う。

それに今は、ゾロには聞こえているのだ。
サンジが口に出さない言葉が、謝罪の言葉の後に。

わりいわりい、すまん、ゴメン。




ゾロ、愛してる。




サンジが飲み物の入ったグラスを持って近づいてくる。
ゾロはわざと寝たふりをする。
その傍らにあるのは、ちっぽけな香草が植えられた小さな植木鉢。
遠く仲間の笑い声が聞こえる。


「おい、マリモ・・・・、ってまた寝てやがんのか」


サンジが軽く靴の先でつつくので、ゾロは寝たふりを続ける。
この後に来る蹴りをゾロはじっと待ち受ける。

それに続く謝罪と、

愛の言葉を聞く為に。



End.


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千腐連企画様2010年度のお題「ゴメン。」にこっそり参加の作品。

とにかく全編ごめんごめんを言いまくりの、
さらっとしたアホ話のつもりが、結構長くなりました。

そう、ごめんごめんを言いまくりながらのエッチ、がテーマでしたw
さらっとしたエッチのつもりが、結構ハードになりました。

当社比ですがww

感想いただけると嬉しいですv


2010.4.17脱稿