どこか無邪気なその行為に。 2



「お前さぁ、女の子の身体と心、どっちが欲しい?」

「は?」

何それ、哲学?

いささか突拍子も無い質問に、ウソップは面食らう。
それでも真剣にうーん、と考えてしまうあたり、ウソップも人がいい。

「心、かなぁ?
 身体も嬉しいけど、それだけってのもムナシイだろ。
 心があれば身体もいずれ付いて来るかなって思うし」

「普通そうだよなぁ・・・」

しみじみとサンジがつぶやく。

「アイツは、そうじゃねえのかなぁ・・・」

アイツが欲しいのはアタシの身体だけ、っていうアレですかい。

麦藁海賊団はほかの海賊団に比べて女性の比率が高い。
もっとも、彼女らがなびいてくれるかどうかは別問題ではあるが、

他所ならともかくこの船で、女性のナミでもロビンでもなく、
わざわざ男のサンジに手を出しているのだ。

身体だけのワケ無ぇじゃねえか。
気づけよ、とウソップは思う。

サンジは唇をアヒルのように尖らせ、拗ねた口調で言った。
「だってよぉ、アイツ、俺にはさせないんだぜ?」

「・・・何を、」

聞けば爆裂エロトークが始まるのは分かっていながら、
ウソップは促すような相槌を打ってしまう。

あああ、なんだって俺ってば、
サンジの恋(?)の指南役みたいなことになっちゃってんの!


「俺の身体散々弄くり倒して善くさせて、突っ込んでイかせて、自分もイッて。
 でも俺には何にもさせないんだぜ?」

ゾロ・・・お前なんて甲斐甲斐しいんだよ・・・。
しかもどんだけ不憫なんだ・・・。

ウソップはゾロに物凄く深く、深く深く同情した。

「・・・お前、何が不満なワケ」

思わず呆れたような声が出た。

相手のことなどお構いなしでムリヤリ突っ込んで来る、とか
そういうことなら不満を抱くのも分かる。

だがそうではなく、むしろ丁寧に抱いているというのに
何が不服だと言うのか。

「シて欲しい、とか、無ぇのかなぁ?と思ってさ」

サンジは相変わらず拗ねたような口調で答えた。

「何だそれ、お前がゾロに入れたいってことか?」
「ばーか、ちげぇよ!」

お前に馬鹿って言われたくねぇよ・・・。

「尺八とかさ、乳首吸ったりとか。
 ご奉仕っつの?
 そういうの、シて欲しく無ぇのかなと思って。

 だってよぉ、セックスって双方が楽しむもんじゃねえの?
 俺ばっかり善くしてさぁ、そんなんでアイツ、イイのか?」


サンジってのはアホだよなぁ、とウソップは常々思っているのだけれど、
今回はかなり強烈に、アホめ、と思った。


「お前はさぁ、シてやりてぇの?」

問われたサンジはきょとんと固まった後、目線をうろうろと泳がせた。

「いやぁ、アイツがシて欲しくねえんだったら、
 やったって意味が無えだろ、」

「やってやれ」

「いや、だって、」

「いいから!!」

ウソップに強く言われてサンジは押し黙る。

「いいか、俺の勘ではゾロは絶対に嫌がらねえ。
 むしろ喜ぶと思うぜ?

 どうしても恥ずかしかったら酒でも引っ掛けていけ。
 万一断られても、酔ってたからって言い訳出来ンだろ」

それに、お前酒が入ってると素直だから。
ちゃんと上げたいものを上げられるはずだから。

「そうかな〜、そうかな〜、」
サンジはまだ迷っているらしくぶつぶつ言っていたが、
この分なら大丈夫だろう。


馬鹿じゃねえの、サンジ。
ゾロがお前を欲しく無えわけねえだろう。

少し寛げられたサンジの胸元に散る紅い痕。
ゾロが噛んだのか、それとも肌を強く吸ったのか。

あれは間違いなく所有印だ─────。






なおも肩の上で服を脱ごうと暴れるサンジを、
ゾロはどうにか武器庫まで運び入れた。

放り投げるように下ろされてサンジは散々悪態をついたが、
ドコに連れ込まれたのかが分かると、口の端を舐めて嗤った。

「はは、ヤる気じゃん」

蓮っ葉な口調で言いながらも心臓はバクバクだ。

あっぶねぇ!飛んでた!

素面では誘えず、景気づけに酒をあおってもなかなか勇気が出なかった。
調子が出てきた頃にはかなり呑んでたらしく、
ゾロに話しかけたあたりで記憶が飛んだ。

あやうく公衆の面前でアオカンだ。
ウソップはともかく(ええ?)、ナミとロビンの前ではちょっと遠慮したい。

ゾロの良識に感謝しながらも、サンジは努めて挑戦的にゾロを誘った。

「なぁ、ヤろうぜ?
 今日は俺がヤってやるからさ、お前はそこでチンコ立ててりゃいいから」

「ああ?何だそりゃ。てめえが俺を掘ろうってのか?」

「ばーか、ちげぇよ!」

ゾロの眉間にビシ!と青スジが立った。
てめえに馬鹿って言われたくねえ!
と表情が語る。

「俺が動くっつってんの!
 ちゃあんと上手に啼いてやるよ、だから俺にヤらせろよ。
 絶対善くしてやるからサ」

サンジは突っ立ったままのゾロににじり寄ると、ズボンの前を寛げた。
「おい、」
制止しようとするゾロに構わず、引っ張り出したものを咥える。
生暖かいものに包まれ、ゾロは背筋がぞくりと粟立つのを覚えた。

口淫は初めてだった。
いつもゾロにしてもらうばかりだったから。
同じ男だからイイところは分かってる。
尖らせた舌で弱いところを攻めると、呻くような声があがる。

口内で硬さを増すゾロの半身。
いつも自分の中を掻き回し、掻き乱すそれを、
サンジはいとおしげに愛撫した。



あの小生意気で天邪鬼な男が自分の性器を口に含んでいる。
それは例えようもなく淫猥な光景だった。

一心に舌を這わせ、舐めしゃぶる。
どこか無邪気なその行為に、ゾロの熱が一気に膨れ上がる。

ゾロのスイッチが入ったのを感じたのか、サンジは一度唇を放し、
上着のポケットを探った。

「何だ、」
「いや、ちょっと・・・」
サンジが取り出したのは手のひらに乗るようなサイズの小ビンだった。
中身に思い当たったゾロは、溜まらずサンジを引き倒した。

「おい、ダメだって!俺がするんだから─────」
「うるせぇ!」

服を脱ぐとき、ボトムから始めたのはこういうわけだったのか。
こんなモノまで用意して・・・!!

もう、誰がする、とか言っては居られなかった。
お互いが欲しくて、貪るように唇を合わせ、肌を合わせた。









翌日、スタンドカラーのシャツを来ているサンジを見て、
ウソップは無事にプレゼントを渡せたのだと悟った。
水仕事のために少しだけ捲くった腕にさえ紅い痕が残っている。

心なしか足元がふらついているような・・・。
いやいや、気づかない、気づかない。

ウソップはまた自分に言い聞かせながら、
良かったな、サンジ、と心の中でつぶやいた。


それとな、ゾロ。
お前が貰ったらしいプレゼント、それ、


お前のほかは誰も要らないから!
誰も欲しがらないし、取らないから!


だから、ちょっとサンジと喋ったくらいで
鬼の形相で睨むのはやめて下さい、頼むから。

めちゃめちゃ怖ぇんだよ!!


ゾロの視線に怯えているのに気づかずに親しげに話しかけてくるサンジを、
ウソップはちょっと恨めしく思った。










END.






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エロ10のお題5 【配布元:Abandon様】
どこか無邪気なその行為に。

Dag en nacht 流音さまよりリク
ZSで「上手に啼いてやる」

難産でした〜!
妄想が止まらなくてどんどん長くなってっちゃって

オチの付け所が見つからないわ、なかなかエロにならないわ。
結局エロくもないし、オチてないような気もしますが・・・。

遅くなってゴメン、ゾロ。
これもゾロ誕作品です。

流音さん、萌え萌えのリクをありがとうございました!


2009.1.3(年明けてらぁ・・・)