「・・・男二人じゃさ、寂しいじゃん。
ナミさんやロビンちゃんを誘ってみる?」
努めて明るくサンジが問う。
「あいつらが相手にするわけねえだろ」
「じゃあ、ウソップでも誘うか?」
ゾロはあきれたようにサンジを見て言った。
「お前、あいつら呼んで一緒に行ったとして、
あいつらの分もおごんのか?
俺の分だけってわけにいかねえだろが」
「そっか・・・」
ゾロの言い分はもっともだ。
「その代わり、馬鹿みてぇに騒ごうぜ」
屈託無く豪快なゾロの笑顔を見ながら、サンジは曖昧に笑った。
口の中で呟く。
─────バカ野郎。
部品を受け取り、二人はサンジの自宅へと向かった。
ゾロが器用な手つきで部品を取り付けてゆく。
サンジはその様子をただぼんやりと眺めていた。
30分ほどで自転車の修理は終わる。
おかしな2ケツ状態は今日で解消だった。
部活の終わる時間は一緒なので、二人乗りで通学する必要はなくなっても、
この先もほぼ一緒に登下校だ。
だが、あれほどお互いを近くに感じることはもうなくなるのだと思うと、
サンジは不思議な気分だった。
ゼフが、縁側に和菓子と冷えた緑茶を出した。
くだらない冗談を言い合いながら口に運ぶ。
あっさりとした甘味と、キンと冷えた緑茶の適度な苦味。
舌先と胸のどこかに澱のように残った。
「なあ、今週の土曜でいいか、」
「あ?」
「市民公園だよ、何か用事入ってるか、」
「─────イヤ、」
じゃあ、決まりだな。
嬉しそうに言うゾロとわずかに困惑顔のサンジ。
ゼフが不思議そうに、だが何も言わずに二人の様子を見ていた。