久しぶりの快晴に、溜まりに溜まっていた洗濯物を一気に干したため、甲板は満艦飾となっていた。
青空にはためくシーツは見ていて気持ちがいい。サンジはようやく空になった洗濯カゴを片手に、ふうと一息ついた。
「…?何だコレ?」
サンジの目に留まったのは、細長い晒しの布だった。
長さはかなりある。乗船してから今までに、何度となく洗濯をしてきたが、初めて目にする代物だった。
手拭い、にしては長い。この間寄港した島で誰かが購入したのだろうか。ひたすら長い白い布の用途がサッパリ分からず、サンジは首を傾げた。
(取り込む時に誰のか分かっかなー)
どう使うのかが無性に気になり、持ち主が分かったら訊いてみようと心に決めるサンジなのであった。

* * *

「あれ、なんだおめぇのなのか、」
果たして謎の白い布の持ち主はゾロであった。
「これ、前の島で買ったのか?」
洗濯物を取り込みに来たゾロに訊くと「そうだ。」と簡潔に答える。
「なぁ、これ何に使うんだ?」
単刀直入に訊ねると、ゾロはキョトンとした表情でサンジを見た。
「褌だ。知らねえのか?」
「フンドシ?」
言われても何のことかサンジにはさっぱり分からない。
「下着だ。そうか、イーストでもおれの故郷のあたりでしか締めねぇのか…。」
なるほどと一人頷いているゾロになんとなくムッとする。下着と聞いてもまだピンとこない。
胸に巻くのか?腹巻きか?
解消されない疑問が眉毛同様くるくると頭の中で渦を巻く。
「おい、それどう使うんだよ」
サンジはなおも食い下がる。
「だから下着だ。」
「って、お前普段そんなのつけてねぇじゃねーか。何だよ、腹巻きの一種か?」
何でそんな説明をせにゃならんのか、とちょっと憮然としながらもゾロは答える。
「腹巻じゃねえ。下履きだ。」
「下履き??」
「要するにパンツだな」
「へぇ〜?」
「祭りの時によく締めたモンだ。
 着物のときにはこっちの方がしっくりくるしな。
 気持ちが引き締まるし、涼しいぞ。」
先だって寄港した島で偶然見かけ、故郷を思い出して懐かしくなり、ついつい購入したのだ。晒しの布は買ったばかりだとパリパリとして付け心地がよくないので、取り合えず一度洗うことにした。それをサンジに見咎められたのだ。
ますますもってどんな風に使うのか興味津々のサンジである。
「なぁ、どうやってつけんのか見せてくれよ」
「はぁ?!」
「いいじゃねえかよ、減るもんじゃなし!」
あんなこともこんなこともしている仲である。しかし、コトに及んで服を脱ぐ分には、お互い興奮しているので問題無いが、なんで素のままの状態で下着姿を披露せにゃならんのか。
「いいじゃんか〜、どんなモンだか見てみてえんだよ〜」
「・・・・・しょうがねえなぁ・・・」
なんのかんの言いつつも、恋人のおねだりには弱いゾロである。ゾロとしては、アホなコックの頭の中身に合わせてやっているだけだ、と思っているのだが、内情をうすうす知っているクルーからは、陰でバカップルと呼ばれていることなど知る由もない。
一方、見せて貰えると知ったサンジは喜色満面である。
「出来ればつけるとこから見てえんだけど・・・」
「冗談じゃねえ!」
裸の状態から、肌着を身につける瞬間というのはどうにも情けないものである。それだけは願い下げだ。
だいたい、それだけの為に今から着替えるのはあまりにも馬鹿馬鹿しい。今日の風呂の後でつけるということで手を打ち、格納庫で落ち合うことを約束した。


* * *

「おっ?何だよこれ、すっげやらしくね?」
ゾロは褌を身につけて、サンジの前に立った。ズボンをずり下げた状態で、情けないことこの上ない。
何をやってんだおれは。
ゾロは安請け合いした昼間の自分を呪いながら、サンジがしげしげと褌を観察するに任せた。
「へぇ〜、なんか大事なトコだけ隠してるって感じだな。
ケツとか丸見えじゃん。」
サンジは後ろに回って尻を眺めている。
確かに逸物と尻の穴こそ隠してはいるが、ナニの大きさは丸分かりだし、尻もまるっと空気にさらされている。見ようによっては卑猥と言えなくもない。
ふうん、とサンジが褌に触れる。どうやって結んでいるのか興味津々の様子だ。
「なぁ、これどうやって結ぶんだよ?」
「は?そんなの知ってどうすんだ、てめえも締めんのか」
「いやぁ、だってどうやってつけんのか知りてぇじゃんか、なぁ、つけるとこ見せてくれよ」
「冗談じゃねぇ!嫌だつってんだろ!」
「いいじゃねえかよ、ケチ」
「なんだと?!」
サンジは尚も食い下がったが、そこだけはゾロも頑として譲らない。しばらく押し問答が続いたものの、最後までゾロは首を縦に振らなかった。

「ところでこれさ、小便のときはどうすんだよ、」
「は?うげ、やめろ!」
サンジは締め具合を確かめるように褌を引っ張る。当然布地はぐいぐいと尻に食い込む。
「毎回ほどくのか?それとも下げんの?すっげぇ面倒くさくねえ?」
「バカっ!やめろ、ひっぱんな!」
サンジは前を覆う布の部分を手前に引っ張り、無理矢理作った隙間からナニを引っ張り出そうとしている。
「おっ、こっから出せんだな!結構便利だなぁ〜」
「てっめえええ!」

布の隙間からこんにちは。

サンジはへぇ〜とか、ほぉ〜とか、しきりに感心しつつゾロの逸物を入れたり出したりしている。ゾロのムスコは萎えた通常状態だったのが、いじくられているうちに少しずつ芯を持ち始めていた。
抱き合ってる時間よりもどつきあってる時間の方が長いとはいえ、同性という壁をぶっ飛ばして惚れこんだ相手だ。その愛しい恋人が、自分のナニを褌の中に入れたり出したりしているのである。むしろその身体の中に挿れたり出したりしたくなるのは、自然の摂理であるとゾロは思う。
「あり?なんかしまいにくくなって来てねェ?」
容積が増え始めたモノを褌にしまうのが窮屈になってきたことに、ようやくサンジは気づいたようである。
「げっ、もしかしてこれおっ勃ってねぇ?おいゾ・・・」
「・・・てめぇ、覚悟は出来てんだろうなぁ・・・?」
ゾロは褌から横チン状態でスゴんでいる。
間抜けな姿である筈なのに、サンジは完全にフリーズした。自分が少々やりすぎたコトに遅ればせながら気づく。
「え、ちょ、おいまさかてめえやめろッ!」
「やめろっつってんのにいじくってたのはてめえだろうが!責任とりやがれ!!」
ゾロは、逃げようと踵を返したサンジの腰にタックルを掛け、つるんと下着ごとボトムをずり下ろす。風呂の後でラフなスウェット姿だったことが、ゾロには幸いし、サンジには災いした。あっさりと下半身が剥かれる。
膝までボトムが下げられた不自由な態勢では、自慢の蹴り技も繰り出しようがなく、ろくな抵抗もできない。
ゾロはサンジの尻たぶを割り開くようにして秘所をさらすと、ためらうことなくそこに舌を這わせた。
「ひゃっ、やめ・・・アッ・・・」
受け入れるコトにすっかり馴らされた躰は、その行為に続く愛撫を勝手に想像して疼き始める。敏感な乳首はたったそれだけの愛撫にすぐに硬く勃ちあがり、そこにゾロが触れてくるころには、軽く指先で転がされただけで甘ったれた声が漏れた。
指が埋め込まれ、敏感な箇所を探られるともうダメだった。サンジは理性をあっさりと明け渡し、ひたすら快楽だけを拾いはじめる。
サンジはおのれの浅はかさを呪いながら、ごりごりと擦り付けられるゾロの昂りを尻の間に感じた。

* * *

サンジはさんざんに喘がされ、ぐったりと床の上に突っ伏していた。
「確かにこりゃあ便利かも知れねえな。
 いちいち脱がなくてもヤれるからな」
ゾロがスッキリとした表情で、満足そうにそう言うのを聞いて、サンジは自分のバカさ加減をもう一度大いに反省した。
そんなサンジの思いなどつゆ知らず、ゾロは上機嫌で提案する。
「おい、てめえもこれからこれつけておけ。
そうすりゃ脱がさなくても挿れられっからな。
こりゃ便利だ。」
「冗ッ談じゃねぇえ!!絶対に嫌だッ!!」




以来、ゾロが褌を身につけている時は、隙あらばヤりたい気分である、という意思表示となった。
もっとも、その意思表示にサンジが気づくのは、いざ不穏な雰囲気になってゾロがボトムをゆるめた時であるため、全くサンジには功を奏さなかったという。

どっとはらい。







SUPER COMIC CITY関西19合わせで発行し、
『やぎなぎ』様にて配布お願いしたペーパーです。

Yagiちゃん、凪ちゃんありがとーvv

こんなん興味持って下さる方はあんまりおらんだろうと
ホントちょっとしか刷らなかったんですけど、
予想に反して褌スキーさんは結構いらっさるようでww

グッコミでも少しだけ再印刷したのですが、
そちらも予想以上に興味持っていただいて、
とても嬉しかったですv


2013.8.18