クウイポ

Yagi

サンジの誕生日には上陸、それはいつも忙しいサンジを休ませようとナミが言い出したことだった。どうにも上陸が叶わず、一日ゴロゴロしてなさい、とサンジをキッチンから締め出した年もあるにはあった。しかし、仲間、特に女性を働かせて自分が休んでいるというのは、よっぽど性に合わなかったらしく、夜にはグッタリと憔悴してしまっていたため、上陸は鉄則となった。
さて、今回辿りついたのは、非常に小さな夏島であった。
常夏の小さな島の海岸線はほとんどが細かな砂浜で、どこも海水浴客が寝転がっていた。砂浜から無理やり突き出すように桟橋を作り、浅瀬に乗り上げるギリギリ手前で船を繋留させられた一行はワクワクとバカンスに必要となりそうな荷物を手に手に持って、その島へと降り立った。

「うっひょ〜〜〜! 夏島サイコ〜! 水着バンザーイ!」
「素ン晴らしいですね〜! 聞くまでもなく、皆さんパンツ見せてくださってる!」
「ビキニ率たっけーよな! なんて良い島だぁ〜!」
桟橋で、手を取りあって感涙にむせぶサンジとブルックの横を、ゾロが呆れた顔で通り過ぎる。
「アホか……」
「アホっつったか? ああ!?」
「忘れた」
シレッと答えるゾロに、フンッと鼻息をかけたサンジは更に詰め寄った。
「てめえのその年上面もなぁ! 今日で最後だぞ!
明日には晴れて同い年だ。ふはははは!」
まるで悪の総帥のように、腰に手を当てて高笑いするサンジをチラリと見たゾロは再び「アホか」と声に出さずに呟いた。
そもそも、年上面をした覚えはない。
なにを卑屈になっているのか、サンジが勝手に年下面をしてくるとゾロは思っていた。

ゾロは酒瓶を抱えて大きな木陰に陣取りすると、早速寝そべって、思い思いに遊ぶ仲間を眺めた。
ルフィとチョッパーはボールを投げては海に飛び込み、フランキーとウソップに救助されている。さっきまで一緒に泳いでいたはずのサンジの姿が消えていた。じゃああちらか、と目を転じる。
ナミとロビン、ブルックはパラソルの下で手を叩きながら踊る村娘たちを見ているようだ。
「なに、やってんだ。あいつは」
ナミがたまに腹を抱えて爆笑しているその視線の先には、娘たちに混じって踊るサンジがいた。
また、女たちにノセられておもちゃになってるんだろう。呆れながら見ているうちに、なかなか様になってきた。
「器用なやつだな」
身近な人間が浮かれている姿を見ていれば、自然と高揚する。それが恋人であればなおのこと。ゾロは知らず緩んだ頬を、意識して引き締める。

いつの間にかウトウトしていたらしく、気づけば周囲は夕焼けで赤く染まっていた。
「やっと起きたか」
「メシか?」
「宿はビュッフェだから、多分行けば食えるけどよ。ちょっと早くねぇ?」
見渡すと、あんなに大勢いた海水浴客はほとんど居なくなり、仲間も姿を消していた。
そんなゾロの様子を見て、サンジは後方の小さな山を指差した。
「あの山のてっぺんは鉱石が露出してて、夕焼けが見事なんだと。みんな、それを見に行ってるよ」
「またナミの業突く張りか」
サンジはゲシッとゾロに蹴りを入れながら、話を続けた。
「いや。あそこのはただの石灰で宝石みたいな価値はねえらしい。
それに、そんなんだったら体力バカのてめえを連れて行かねえわけねぇだろ」
「そりゃそうだ。で、なんでてめえだけ残ってんだ?」
ナミとロビンの下僕を自称する男が、自ら女性陣と離れるわけはない。
言ってから、またマシンガンのような文句がくるぞと身構えた。
そんなゾロに肩すかしを食らわすように、サンジはパッと顔を伏せる。
「あのな、この島、今では寿命も延びてそういうのも廃れたらしいんだけどよ。
昔は、必ず二回結婚したんだって。
年長の男のとこに若い娘が嫁いで、愛される歓びを知って、男に先立たれた女は若い男と再婚する」
「閨事を継承すんのか! は、すっげえ」
「実際、そういう結婚をしたミセスと喋っててさ……その、なんか、年下期間終わっちまうのが、ちょこ〜っと惜しいかなぁ、なんて……」
「まどろっこしいな。要するにヤりたくなったってこったろ?」
「即物的すぎんだよ、クソマリモ」
「じゃ、てめえから誘ってみろ」
隣に座ったまま、ゾロの耳元へ伸び上がって口を寄せる。
「百戦錬磨のてめえのテクでメロメロにして?」
次の瞬間、サンジはゾロの肩に担ぎ上げられ、海岸をあとにした。その向かった先がまずは宿の真反対なのはお約束……。


「ま、実際はてめえの方が経験多いよな」
駆け込んだ部屋のベッドにサンジを降ろし、のし掛かりながらゾロは鼻に皺を寄せた。
「そう言うなよ、こっち側はてめえしか知らねえんだからよ」
チュッとゾロの鼻の頭にキスをするサンジの瞳は、既に期待に濡れている。
生娘を抱くように、慎重にパーカーを開くと白い肌は少し赤くなり、熱を持っていた。
「日焼けしたな。痛くねえか?」
「気ぃつけてたんだけどなぁ。海パンで踊ってたのが悪かった」
「あぁ、あれ、腰回してんのがエロかったな。あとで挿れてからヤって見せろよ」
「やだよ、バカ!」
ふっと口の端で笑ったゾロは、取り出したボトルを開け、サンジの躰の上でひっくり返した。
「うわ! なに……?」
「ローション」
「なんで、そんなとこ……」
「気持ち良くねえか?」
ヌルヌルと腹から胸へのばされるローションは濃厚なココナッツとジャスミンの香りでむせ返るようだ。
「……っ」
火照った身体が冷まされつつ、新たな熱が体内に生まれていく。
「良さそうだな」
濡れた胸板で丸を描くようにローションを塗り込み、固く立ち上がる、小さな先端を不意に摘まんだ。
「ひぁっ!」
胸を押し上げるように背を反らし、ビクビク震える姿を見て、ゾロは笑みを深くする。
「エッロ。日焼けのケアしてやってるだけだぞ。勝手にメロメロになってんじゃねえよ」
「な、てない…」
「そうか〜? こんなとこまで腫らしてるくせに」
固くなった乳首の根元は、薄いピンクの乳輪がぷっくりと柔らかく膨らみ、ゾロの愛撫を逃すまいと以前より大きくなった気がする。
ゾロに摘ままれた乳首の先をペロリと嘗められ、再度サンジは息を飲んだ。
「っ……ば、そんな、口に、入れて平気、なのかよ」
「別に大した量じゃねえし、平気だろ」
そんなことに気を回す余裕がまだあるのかと、少々ムッとしたゾロの手が性急にサンジの全身を撫でた。
とりあえず、と言うようにペニスへの刺激であっさり達したサンジは、一瞬突っ撥ねた手足からくたりと力を抜いた。
「はぁ……」
顔の横に投げ出された腕の裏側が目に入る。
「珍しい。こんなとこまで焼けてるぞ」
「ああ、手を上げる振り結構あったからかな。
おまえ、どんだけ見てたの?
こうやるの見た?」
片手を斜め上に真っ直ぐ伸ばし、もう一方の手を頭の上でグルリと回して見せる。
「ああ、見た気がする」
「ここの民族舞踊、おもしろくてさ。全部手話なんだって。これは風って意味なんだと」
これは雨、これは滝、とサンジは覚えたばかりの振りを披露していく。ゾロの身体を少し押しやり、両手を前に伸ばして組み合わせたサンジは、その握った手を左胸に引き寄せながら「これは、睦み合う」と、ゾロを見ながらニヤリと笑う。
「で、これがアンダーヘア」
腹の下で、両手を丸く回したサンジに、ゾロがぎょっと目をむく。
「はあ!? ホントかよ?」
「表の意味は海藻だけど、歌自体が二重になってて裏の歌詞はエロいんだよ。さっきのだって、熱い砂浜で良い匂いのする海藻が絡み合ってる。たくさん採って、海でびしょびしょになって遊ぼうって歌ってたけど。海藻が……」
「これってこたぁなぁ」
サンジの下の毛に指を絡ませる。
「たしかに、良い匂いだ」
股間でクンとこれ見よがしに嗅がれ、サンジの頬がパッと赤くなる。
「そりゃ、ローションの匂いだ、ばか……」
「自分から振った話のくせに照れんなよ」
 プイと赤くなった顔をシーツに押し付ける。だが、ゾロの眼前で晒された急所は隠そうとしない。視線だけで感じるのか、見る間に萎えていたはずのペニスが力を取り戻していく。
それに向けて、フッと息を吹きかけると、途端にグインと起ちあがった。
「毛を絡ませるんだっけか?」
そう言いながら、ゾロは自身のそれを取り出し、サンジと一緒に握りこむ。触れていなかったはずのゾロのほうが熱い、その事実にサンジもまた昂ぶる。裏筋同士が擦れると、悲鳴のような声が出た。
「また、イッちま……」
「いいぞ」
ギッとゾロを睨むと、その太い首を両手で引き寄せた。
「ナカでイカせろ―――」

どこよりも熱いそこに砲身をあてると、ヒクヒクと誘い込もうとする。両手の指で割り拡げ、大した力も籠めずに進める狭い穴蔵は歓喜に震えてゾロを迎え入れた。
「あ、ほら…てめ、が……」
「ん?」
「クソ焦らすから――おれン中、待ってたじゃ、ねえか……」
「この状態で煽るたぁ、いい度胸だ。覚悟しろよ」



ポーンポーンと壁の時計が日付が変わったことを報せる。
うとうとと微睡むサンジの頬をそっとゾロの指が撫で上げた。
「おい、念願の同い年だ。おめっとさん」
ぼんやりと眼を開けたサンジがふわっと微笑む。
「満足したか?」
「したした……もう当分いらね――」
「遠慮すんな。記念すべき同い年の初セックスってのも叩き込んでやる。まだ、回ってもらってねえしなぁ」
「しない! バカ! あ、メシ! 食い損ねたぁ!」
「もう無えだろ。朝まで暇になったな」
「寝かせろ〜!」

fin



yagiさんならではだなぁというお話ですねv
大人なゾロとゾロの前ではちょっと素直なサンジがかわいいです!
エロもきっちり書いてくれてありがとー!!(は) ぱた

丁々発止で軽口叩きあってるのに、しっかりラブラブな雰囲気v
流石のYagiちゃん節です♪
踊るサンジの腰つきはさぞエロいことでしょうなぁ・・・
切実に見たいけどゾロに斬られるのはちょっと痛い(ちょっとかよ
南国の空気感たっぷりのいちゃエロゾロサンありがとうでした! ひか