リボンをかけて贈ろうか

Yagi

「ごちそうさま!サンジくん、おいしかった〜」
「じゃあ、ゾロ。改めておめでとう、ね。ふふふ」
女性陣が腰を上げるのを見計らったようにウソップ、ブルック、フランキーも立ち上がった。
「あれ!?おまえらも、もう寝るのかよ?」
「あはは!メシが美味くて飲み過ぎちまった〜、そろそろ寝るわ!」
ウソップの乾いた声に同意する年長者二人。
「おれはまだまだ食えるぞー!」と言い掛けたルフィの言葉はフランキーに押さえられ、大半がふごふごという音に取って代わった。
すでにウトウトしていたチョッパーも抱え上げられ、あっという間にダイニングはゾロとサンジの二人っきりとなる。


「ヨホホホホ〜今日のサンジさん、おっかなかったですねぇ。
私、心臓が竦み上がっちゃいました!心臓無いんですけどねぇ〜〜〜!」
「宴の空気壊さないように隠してるんでしょうけど、ブリザードみたいなオーラがダダ漏れよ!」
一体ゾロはなにをやらかしたんだか、と一同は今日の主役へ思いを馳せた。


ラウンジでは次々と皿を引き、洗っていく音だけがカチャカチャと響く。
「で? てめえは何に腹立ててんだ?」
「は? なにも怒ってねえけど?」
「言う気はねえってことか」
ため息混じりのゾロの声に眉をしかめたサンジは、水洗ノズルをしめ手を拭きながらテーブルへと近寄った。
胸ポケットからタバコを取り出し火をつけ、フーッとゾロに向かって煙を吹きかけた。
「どうあっても、おれが怒ってるってことにしてえようだなあ?
どういうイチャモンだ、こら。マジで腹ぁ立ててもいいんだぜ?」
間近からのぞき込むサンジの挑発的な瞳に、ゾロも怒りを感じながら睨み返す。
が、ふと、目的を思い出した。
「おまえ、怒ってねえんだな?」
「しつっけえ!」
「そうか、怒ってる自覚はねえのか」
「は!?」
「おい、じゃぁ、今朝から何考えてた」
「……今朝は、宴のメニューとか……うまかったろ?てめえの好みばっかだったろうがよ。ったく、なにが不満だっつうんだ……」
背を向けて立ち去る気配を滲ませたサンジの腰を引き寄せ、ゾロは自らの膝の上に抱え上げた。
「ちょ!おい、離せ!まだ片付け終わってねえんだよ!」
「あとでいいだろ」
ガッシリと腰に巻きついた手を引き剥そうとしても、ビクともしない。
「ああ、もう……」とため息をついたまま、サンジはゾロの胸に寄りかかった。

短くなったタバコの最後の一口を吸い、携帯灰皿にねじ込んだ。
「おれがさ、仲間になったときのこと覚えてるか?」
「アーロン倒したときだろ、忘れるわけねえだろうが」
「日にちは?」
「ひ、にち…?夏だったか……?」
「3年前の今日だよ、11月11日!ナミさんの村の宴会で、てめえはおれに同い年だなって言ったよな!
けど、あんときてめえはいっこ上になってたわけだ」
ぎょっとしたゾロが目をむく。
「そうだったか!?」
「うそつき」
「そんなもん、意識してねえよ……」
「んなこたぁ、わかってる!
けどなぁ、仲間になってたのに、誕生日を祝い損ねたおれの気持ちがわかるかあ!」
わかるわけねえだろ 浮かんだ言葉は表す前にサンジの言葉が被さる。
「同い年って浮かれてたのに、年上だったとかひでえだろ。しかも、次こそは盛大に祝ってやろうってずーっと待ってたのに、二年もお預けだ」

シュンと項垂れたサンジの細い首を見下ろしていたゾロが、ニヤリと口角を上げた。
「おまえ、そんな前からおれに惚れてたのか」
「は!? 今そんな話してねえし!」
「そうか、そうか。おれが告ったから絆されやがったとばっかり思ってたが、てめえがそんなときから意識してたとはなあ」
「だから、違うって!」
「いや、そうだろ? どうでもいい男の誕生日祝えなかったからってなんで落ち込むよ。同い年じゃなかったからってなんでムカつくってんだよ」
「え」
かあああっとサンジの顔が朱に染まり、再びゾロの膝から降りようとジタバタ暴れ出す。

「片付け残ってっから……」
「あとで手伝ってやるから、初めての誕生祝い、寄越せ」
「やったっつうの!今日の酒、美味かったろうが!」
「あ、これか?」
ゾロがおもむろにイスの下から一升瓶を取り出した。
「あ!なんだよ、味わいもせずに飲みきったのかと思ってたぜ!」
「コーラや牛乳で割ろうとするアホがいっから隠したんだ」
「ほー、そういう発想はなかったな」
「感心すんな!一滴でもそんな実験すんなよ、大吟醸だぞ!」
「わかってるよ、うへへへ」
「なんだ」
「気に入ったみてえだなぁ、おれのプレゼント」
ゾロがしまった、と顔をしかめる。
「テーブルに並べといて、てめえからだなんて分かるかよ、アホ」
味見と称して、口移しでサンジの口へ送り込まれた酒は、米の香りが鼻へ抜けるすっきりした味わいだった。
「ちっと辛え……」
「そうか?」
酒無しの唇に塞がれる。甘く感じる舌をサンジが夢中で吸い上げた。
向かい合うように抱きあい、少し下にある緑の髪をくしゃくしゃとかき混ぜる。
ゾロの舌はサンジの首筋をなめ、すっかりはだけられた裸の胸へと辿り着いた。
赤く色づく果実を嘗め転がし弄ぶ。
ソロを挟むように膝立ちになったサンジが腰を揺らして、ゾロの腹へと下半身をこすりつけた。
「もうトロトロか。やらしくなったなぁ」
「……っるせ」
サンジはゾロを睨みつけるとその脚から降りる。
ゾロの足下に跪き、腹巻きをずり上げて前を寛げると、半ば勃ちあがったゾロ自身を取り出した。
根元から先端へねっとりと舌を這わす。
裏筋をチロチロと嘗めると、グンと固さを増して反り返った。見下ろすゾロの眼を覗きながら、アーンと開けた口に先端を埋没させる。
ゾロの眼がウッと細められる。
「ひもひいい?」
「そこで、しゃべるな」
自分だってやるくせに、そう思いながらゾロのフェラを思い出したら、ズボンが痛いほど張り詰めてしまった。
苦しいのに、なぜか気持ちいい喉の奥まで飲み込むように咥え込んで、ジューッと吸い上げる。

口をすぼめてカリまで一気に取り出し、その勢いで出し入れしてやると、サンジの頭に乗せていたゾロの手にグッと力が籠もった。
「だひていいほ」
「いや、おまえん中がいい」
サンジがぷはっと口を開ける。
「それまで保つのかよ」
口の中に溜まった苦い先走りを飲み込んで、ベルトのバックルをガチャガチャと開けようとするが、とっくに限界のサンジの体は手まで震えてなかなかうまくいかない。
「焦れってえ!」
ブチッと革のベルトを引きちぎったゾロは、サンジの下着まで一気に引き下ろした。
「てめえ、久々にやってくれたな」
「てめえが焦らすのが悪ぃ」
言葉の通り、ゾロの手指は性急にサンジの下肢を暴いていく。
「別に……わざとじゃ、ねえ」

簡単に飲み込んだ一本目に添えて、二本三本の指を揺すりながら埋め込む。
さすがに痛いだろうに、サンジの顔をのぞき込むと、真剣な表情で「はやく、はやく……」と呟いていた。
お互いこんなに欲しいのに、気持ちのスピードについてきてくれない、準備のかかる体がもどかしい。
やっと繋がれば、味わう余裕も無く絶頂へと駆け抜けてしまった。
「はぁ………」
脱力するサンジが床に降りようとするのをゾロが留める。
「おい、足りねえ」
「あぁ、おれもだ」
繋がったまま少し揺すれば屹立するペニスに内部を抉られ、サンジは朦朧としながらゾロの名を呼ぶ。
「ゾロ、ぞろ……も、っと」


空が白々とあける頃、ようやく身体を離した。
「は……ねむ…」
大きな欠伸をしながら咥えたタバコを一喫いし、咥えたままゴロリと横になった。
「火危ねえぞ」
「ん……」
そういう間にも、サンジの目蓋は落ち、口元から力が抜けていく。
ゾロは、ふっと笑うといつものようにそのタバコを抜いて、自ら咥えた。

「こいつ、誕生日誕生日ってこだわってた割に、結局おめでとうのひとつも言わなかったじゃねえか」
事後のタバコも、サンジのやりかけの片付けも、後を引き取るのはすっかり習慣になった。
めんどくさい男に惚れたもんだ、と思わないではないけれど、それを面倒と思わない限り手離す気は無い。
誕生日のひとつやふたつ逃したからなんだというのか、これから幾十もの誕生日を共に過ごすだろう。

すっかり短くなったタバコを携帯灰皿に押し込んで、朝陽に煌めく金髪を指に絡めた。

fin

大人だよね?ジェントルマンだよね?
でも、ゾロの前じゃまるでコドモになっちゃうんだよね?
だから、ちょっとの年の差がムカつくんだよね?
カワイイね!うん、知ってる!
だから、いじめたくなるんだよね大剣豪!
ラブラブな2人をありがとうございました! ぱた

これぞ喧嘩ップルの神髄ですよ!!!
ギャンギャン噛みつくサンジを、はいはい、って感じでいなして、
なし崩しにコトに及ぶYagiちゃんのゾロが大好きですv
そしてもちろん、濃厚vなラブシーンも・・・v
ラッブラブな二人をありがとうございました! ひか